カメラを買い替えた話と、写真に対するスタンスの話。
こんばんは。鈴木ひじきです。
つい先日、カメラを買い替えました(前のカメラを売却したわけではないので、買い足したというほうが正確かもしれませんが)
この前書いた記事
の中の欲しい物コーナーでSONYのフルサイズミラーレス一眼カメラ『α7Ⅲ』を挙げていましたが、秋葉原のヨドバシカメラとビックカメラで期間限定タイムセールを行っていてなんと2万円引きになっていたのと、
SONYの行っているこれまた期間限定のキャッシュバックキャンペーンで2万円がキャッシュバックされるので、4万円も安くなるということで重い腰を上げてα7Ⅲ本体と、使いやすいことに定評のある便利ズームレンズ(※広角側から望遠側まで1本のレンズでカバー出来てしまう便利なレンズのことです)をセットで買ってしまいました。
税込で約30万円でした。が、後々キャッシュバックで2万返ってくる予定です。
うーん、、2万返ってきても約28万なので安い買い物ではありませんね……
とはいえ憧れのフルサイズミラーレス一眼です。
ちなみに私のカメラ歴ですが、機材に実はそんなにこだわりはありませんでした(今も実はそんなになかったりします)。
まずカメラのスタートはガラケーです。昔はカメラブランドとコラボした携帯電話はたくさんあったと思いますが(Cyber-shotケータイとか)、自分はCASIOのEXILIMケータイを使ってました。高校から携帯電話を持たせてもらえたのですが、いわゆる0円ケータイとして置かれていたのがそれだったんですね。なのでそれをチョイスしたんです。
そこから何かがあっては携帯で写真でパシャパシャと撮って、友人撮ったり、自分の机撮ったり、景色撮ったりして、なんとなく「写真って楽しいなあ」と思っていたものです。
そこから1年くらいして、世の中にAndroidスマートフォンというものが色んなメーカーから出始めて、じわじわスマホというのを選ぶ人が増え始めていた時代(iPhone4が出たくらいの時代ですね)に、自分もスマートフォンに機種変更することになりました。
そこで選んだのがXperia acro(無印)でした。
この頃にはニコニコ動画で歌い手として活動しており、動画エンコードや音声編集・マスタリングのお手伝いもしていたことから、Twitterを始めて色んな人と交流をしていました。
スマートフォンに機種変更をしたことで、さらに写真を撮る機会は増え、さらに人付き合いがそうやって増えたことからSNSにアップなどもする機会が増えたわけです。
特に当時のXperiaは他社と比べてもカメラの性能が良く、この頃から風景写真なども撮るようになりました。マニュアルで設定出来るモードで自分の納得行く写りを探したりなどもしてました。
その後はガジェットにハマり、いろんなスマートフォンを転々とするのですが、ちょうど就職が決まって社会人になった頃、一つの思いが出てきました。
「スマートフォンの写真もいいけれど、もっと本格的なカメラも触ってみたら楽しそうだな。」
そんなキラキラした思いで私は一眼レフカメラを買うことを決めたのですが、一眼レフカメラの知識なんて当然ないし、どれを買えばいいかなんてわからなかった。
しかも、インターネットで調べて出てくるのは何十万もする本体に何十万もするレンズをつけて、よくわからない単語で喋ってるレビューばかり。
社会人1年目、しかも入社したばかりで給料も安く、大阪に一人暮らししていたのでそれなりの固定費もかかります。
そんな状態だったので、正直そんなお金はないし、一眼レフカメラは正直諦めるべきかなと思っていたりもしました。
でも、色々探してみると、初心者モデルの型落ちなら買える、ということがわかったのです。中古ならもっと安い。これならなんとか俺にも手が届きそうだ。
そうやって安月給の新社会人がなけなしのお金で手にしたのがキャノンの初心者モデル「EOS Kiss X7」のダブルズームレンズキットの中古品でした。
カメラに拘る人は「型落ちのKissをわざわざ中古で買うのか」「キットレンズよりももっといいレンズがある」と思うかもしれません。
でも当時の自分にとってはそれは自分の手の届く範囲の憧れの存在であり、希望だったのです。
届いて箱を開けるとKissX7本体と、キットレンズが2つ。18-55mmの標準レンズ、55-250mmの望遠レンズ。
「わぁ……一眼レフカメラだ……!」と感動したのを今でも忘れません。
慣れていない手付きでレンズを取り付け、恐る恐るオートモードでシャッターを切る。
撮影された写真は、オートモードでもスマホと全く違う写りでした。
望遠レンズに変えてみると、スマホでは到底できないような高倍率のズームが綺麗に映し出されて「わぁ……!」となったことも覚えています。
その後はたくさん出かけました。日常の何気ないシーンをカメラを持ち出しては撮ったものです。当時は今住んでいる東京ではなく大阪に住んでいましたが、大阪の難波の活気のある商店街、今でも再開発ラッシュで超高層ビルの立ち並ぶ梅田や中之島、そして電車ですぐに行ける神戸で港町のおしゃれな風景を撮ったり、京都で紅葉を撮ったり。
技術は未熟ながらもシャッター一枚一枚、切るのがとにかく楽しかったのです。
今思うと本体はシャッター数もろくにわからない中古だし(カメラのキタムラで買った)、レンズはレンズキットの2本に加えて撒き餌の単焦点を買い足したくらいだし、お金がないからアクセサリーなんて安いものしか揃えられなかった(三脚もベルボンの安物だし、カメラバッグも適当に安くてそこそこ使えそうなものを調達しただけだし、予備バッテリーだってAmazonで探してきた評価が良さそうなもの)だから中々にめちゃくちゃなわけで、でも写真撮るのが楽しくて、それで良かったと思ってるんですよね。
その後はカメラ知識も勉強し、RAW現像や長時間露光写真、被写界深度を意識した写真も撮るようになってきました。でもやっぱり基本は細かいことを気にせず楽しく撮る、をモットーにやってきたのです。
だから機材なんてどうでもいいし、レンズの解像力なんて気にしないし、自分の機材で出来る範囲で楽しくやろう、というノリだったのです。
それはつい最近まで続いていました。なけなしのお金でKissX7を買って写真を撮り続けて数年、社会人としても(たぶん)成長して、給料もそれなりに上がり、ぼくは趣味と、友人と、彼女のために上京もしたりしました。
給料上がったものの、他に趣味もあったし、機材にこだわりもないので、ぼくは未だにKissX7を使い続けていたのです。レンズもあの頃のキットレンズと撒き餌単焦点のまま。(ちょっとしたおでかけに重いカメラを持ち歩くのもな、という思いがあってコンデジとしてRX100M3を買い足したりもしましたが、それはまた別の話)
それでも引っ越してきた頃ちょうど満開だった中野通りの桜を撮ってみたり、恵比寿のガーデンプレイスに登って東京の夜景を撮ったりなんかしたり、北海道や江ノ島で自分の好きなゲームの聖地巡礼なんかをしたりして、東京に来てからも楽しくカメラを続けられていました。
そんな中、色々考え直すことになったきっかけになったのが、ある時フォロワーたちとゲームの聖地である北海道陸別町に行った時の話です。
ここは日本一寒い町と言われており、その寒さゆえにオーロラが観測されたことも何度かあるようです。
さらに光害が少なかったり寒くて空気が澄んでいることから、大型望遠鏡が設置された展望台もあり天体観測のベストスポットでもあります。
そんな場所に泊まることになったので、自分は当然カメラを持っていって写真を撮りました。
結論から言うと星空は撮れましたが、インターネットで見るような広い空に天の川……ようなものではありません。ノイズもたくさん入ってしまいました。
ここで私はレンズとカメラの重要性に気付かされるようになります。
そして星空を撮影していたのを見ていた友人は、自分も撮りたくなったのだろう、北海道から帰ってきてからソニーのα7RⅢというフルサイズミラーレス一眼カメラとレンズをいくつか購入します。
カメラを始めるのに本体だけで35万円以上する高価なカメラから購入していたので正直びっくりしましたが、良いものを買うのは良いことなので「いいなぁ〜」という気持ちでした。
その後フルサイズ一眼カメラから出てくる写真を見ると、自分のAPS-C(フルサイズより一回り小さい、一眼レフの主流のセンサーサイズです)の一眼レフカメラでは到底不可能な表現力のある写真が出てきて、フルサイズセンサーを採用したカメラというのに興味が出てきたのです。
なので、自分の中では”いつかはフルサイズを買う”という思いが芽生えていきました。
(というか、フルサイズセンサーのカメラの存在自体はKissX7を購入したちょっと後くらいに知っていて、自分には手の届かないすごい世界、という認識でした)
そしてそれから数ヶ月。
記事にも書いた通り、今回私もついにフルサイズのカメラを購入したのです。
これは簡単な決断ではありません。
衝動買いなんかでもないです。
確かに昔より給料は上がってますが、自分は金持ちでもない。他にも趣味は色々ある。持病もあって、そっちも気にしなきゃいけない。
何よりも、自分は20代も半ばを過ぎ、今は数年付き合っている彼女がいて、共に歩む未来のための投資や貯金も検討しなければいけない時期だと思っています。
そんな時期にカメラだけに30万円を投資するというのは、簡単な話ではないのです。
たとえタイムセールで4万円安くなってもそこは変わりません。4万円安くなったところで大金ですからね。
じゃあなぜ投資したの、という話なんですが、
- 写真を撮るのが好きだから、憧れのフルサイズセンサーの世界を見てみたいと思った。(特に暗所性能が強いのが魅力的だった)
- いままで撮れなかったものも撮ってみたいと思った(星景など)。
- (もし彼女と共に歩む未来になった場合)思い出をより綺麗な形で残す事ができると思った。そこに投資をするのは、自分だけの利益ではなく、二人、もしかしたら将来生まれるかもしれない自分の子どもの利益になると思った。
この3点です。
そのために私は購入という”勇気のいる決断”をしました。
さて、話は変わりますが、この陸別でのお泊り会(以降、陸別オフ)でカメラを友人が購入して以降、私の界隈は大きく変わりました。
この界隈内で新しくカメラを購入するフォロワーが増え、さらに元々カメラを熱心にやっている人たちとの関わりも深くなったのです。
それ故、周りとの付き合いもカメラの話がメインとなることも多くなりました。
ぼくは”カメラで写真を撮る”のは好きなのでそれは全然良い話なのですが、最初に言った通り機材に強いこだわりがあるわけではありません。
もちろん良い機材を使えば使うほど、自分の求めている究極に近付くのは間違いありませんが、基本的には”自分が求めている水準に達していればそれが一般的に不評”でも別に良いのです。
レビューで『解像感が弱い、あと3万出すだけでもっと描写のいい◯◯がある』なんて言われても俺が作例見たり触ってみて納得行くレベルに達してればそれでいい、って感じです。
今回フルサイズミラーレスを購入したのも「自分の求めている水準というのが少し広がって、その実現にはフルサイズミラーレスを導入するとラクなこと」「現実的な金額だったこと」、「投資することで自分だけの利益ではなくなる可能性もあったから」という3つの理由があったからなんですね。
最近この界隈でカメラの話が盛り上がるようになってきてから、語られるのは機材やレンズの描写の話がほとんどになりました。ボケの綺麗さ、偶数絞りや奇数絞りの話、解像感、歪曲や色の収差……
友人と話してても、そのあたりに妥協がないレンズの話になってきます。
「あのレンズは安いけど歪みがあるからちょっと……あれは解像感がクソだから……」
わかります。安いレンズはだいたい写りはそれなりです(例外はありますが)。高いレンズは高いなりの作りをしているので(これも例外はあるかもしれませんが)、細かい部分で差が出てきて、最終的なアウトプットの満足感はかなり違うと思います。
でも、先程言っていた通り自分が求めている水準に達していればそれで良いわけで、自分が求めているのは”究極の写り”ではなく”コストパフォーマンスの良さ”と”楽しさ”です。
自分自身で満足行く写りであれば迷わず安い物を選びます。これは自分の機材にこだわらないという思いからです。
先程も言っていた通り、私はカメラより大事なお金の使いみちがたくさんあります。
そっちにお金を回す必要があるので、コスパの良さが最優先なんですね。
歪みがレタッチで補正できるなら面倒でもコスパのいいレンズを選びます。現実はそんなもんです。あんまりにも写りがひどいのは勘弁ですが、自分の目では満足がいけば他人の目で満足がいかなくてもそれでいいわけで。
でも最近、カメラの話を界隈の人や友人としていると、どうしても「ハイレベルなレンズ」に話が偏りがちで、その「それなりのレンズ」を買うことで、アウトプットされる写真について、自分自身の欲しい水準には達していて自分自身では満足していても、自分の身内からは「それなりのレンズ」で撮ったものとしてしか見られないのかな、というある種の恐怖があってシャッターを切る楽しさを失いそうになっていました。
中古KissX7とキットレンズという貧弱な構成ながらも写真1枚1枚にワクワクを感じていたあの頃のほうが良かった、と思ったりもしました。
(ちなみに言っておきますが、ハイレベルなレンズの話をしてくる人や、オススメしてくる人は全く悪くはありません。これは大事なことなので言っておきます。俺が勝手にそれに合わせないといけないと思いこんでビビっていた、という話です。より良いものを求める姿は自然だと思うので。)
で、特にここ数日、超広角レンズを買い足す問題で相当悩んでいて、どうしても歪みの少なさなどよりコストを優先したレンズを購入しなければならなかったため、上記の問題で余計に気に病む状態になっていたわけなんですね。
なので、思い切ってこの話をTwitterでしてみると、
「自分のやりたいようにやればいい」
「良い物に投資すれば良い物が撮れるけど、それは誰でもそうで、何で撮ったかより誰が撮ったかが重要」
「とりあえずなんでもいいから撮って上げようぜ」 etc…
というたくさんのカメラ持ちからの意見をいただいて、その心配は杞憂ということが分かりました(その節はフォロワーのみなさんには迷惑をおかけしました)。
そしてその末に安い超広角レンズを買って、私の住む中野の街を撮ってきました。
たしかに高いレンズと比べると歪むけど、現像ソフトで自動補正が出来て、それをしてしまえば歪みは気になりません。個人的には満足しています。
そして、自分の住んでいる街をこのレンズで撮っている最中は、昨日のカメラ勢の温かい言葉もあり、Kissを使っていた頃の1枚1枚が楽しい、という感覚を感じることができました。
もっと良いものは世の中にある。けど、自分自身はこれでも満足です。
自分は機材の良し悪しは(ある一定以上であれば)追求しません。
というか、出来ません。先程言った通り他の趣味や将来の人生設計のほうが大事だからです。妥協した上で一番楽しく撮れる選択をしたいのです。
なので、ぶっちゃけカメラガチ勢からすると「え、こんなレンズ買うの?(笑)」って言われても自分がコストと写りのバランスで満足してれば買うつもりです。
(もちろん助言をいただけるのはめちゃくちゃありがたいので真面目に聞きます。が、自分が実際に試したり調べたりして問題ない、と判断すればオススメしないと言われたものでも買うことはあると思います。もしそうなっても助言を聞くつもりがないわけではないということを理解していただきたいです。)
そんなわけで長くなりましたが、結論としては
「自分のやりたいように、使いたいものを使って、
”楽しく”写真を撮っていこう!!」
と思います。
機材がガラケーのカメラでも、スマホカメラでも、初心者向け一眼レフでも、今のフルサイズミラーレスでもその気持ちは変わりません。いや、変えません。
1枚1枚、シャッターを切る楽しさを忘れないようにしたいです。
カメラが変わったことでもっと機材へのこだわりを持たないと、と変なプレッシャーを感じていましたが、それもやめます。機材へのこだわりが必要だと自分が感じて、お金に余裕ができた時に買えば良い話なので。
カメラ勢の方々、こういうスタンスで面倒くさいかもしれませんが、失敗しても温かい目で見守ってやってください(笑)
いろいろ葛藤や周りとの方向性の違いによる悩みもありましたが、念願のフルサイズミラーレスカメラ。
α7Ⅲをこれからの新しい相棒に、楽しい写真ライフを送れたらと思います。
そして写真の楽しさを教えてくれたKissX7、本当にありがとう。
これからも自分の好きな写真を気楽に撮るぜ!!
多分そういうアウトプットされたものはTwitterにぽいっと投げたりするんで、気が向いたら見てくれると嬉しいです。
長くなってしまいましたが、それでは。