VR写真大賞2023で『Meta最優秀特別賞』&『佳作』を頂いた話
はじめに
みなさん、VRSNS(VRChatやCluster等)の空間においても現実のように写真が撮れるのはご存知ですか?
私はVRChatを普段からよく利用しており、バーチャル空間の中で写真を度々撮りますが、これがなかなか奥が深くて楽しいです。
撮影するための場所も有志が作成したものが大量にあり、一般的なシチュエーションから特殊なシチュエーションまで何でも選び放題です。リアル寄りからファンタジー寄りまで、春夏秋冬、昼夜。空も海も山も。全部選び放題です。
さらにはアバターも自分の理想の姿になれるため、自撮りも楽しいですし、他の人を撮影するのも楽しいです。
しかも、スクリーンショットのようにただただ見えているものをそのまま撮るだけではなく、バーチャル空間の中で『きちんとカメラを手で握って』『撮りたいものを撮る』事ができます。焦点距離も変えられます。拘る人はドローンカメラや三脚のような空中固定もできますし、マニュアルフォーカスであえてピントをずらしたり、被写界深度を浅くして背景ボケを作る事もできます。
私はリアルでも一眼カメラを握る人間ですが、この本格さには毎度驚かされます。
シャッターフィールなどはリアルでしか得られないものではあるのですが、逆にバーチャルでしか出来ないようなことも多い(空を飛んだり、本来立ち入れない場所に立ち入るなど)ため、バーチャル写真にはリアルとは別の方向の無限の可能性を感じています。
VR写真大賞について
さてそれだけ自由度が高いと、バーチャル空間の中でも構図やボケ、ワールド、アバターの組み合わせで多彩な表現が可能となるわけで、こうなるとリアルの写真と概念はあまり変わらなくなります。
なのでバーチャル世界にもフォトグラファーはいますし、案件をもらってお仕事する方も(イベント用や3Dモデルの宣材写真などの撮影)方もいますし、当然この世界でもフォトコンも大小様々開かれています。
そんなバーチャル世界でのフォトコンでおそらく最大級なのがNPO法人バーチャルライツ主催『VR写真大賞』。
こちら、VR文化を一般に発信することを目的として設立されたフォトコンで、協賛:Meta、後援:経済産業省、内閣府、デジタル庁、独立行政法人国際協力機構、群馬県、三重県、地方創生SDGs官民連携プラットフォーム、日本赤十字社東京都支部(※2023年の場合)と、官民両方が後押ししているフォトコンとなっています。確かに力入ってそうです。
しかも今年はMetaも協賛して、なんとMetaの最優秀特別賞に選ばれた人はMeta Quest Proという20万円程度するVR/AR対応ゴーグルが貰える太っ腹っぷりです。
応募してみた結果、なんと受賞!受賞写真に込めた想いを語る
さて、このフォトコンは毎年テーマが決まっており、今年は『つながり』。
というわけで今回、私もバーチャル空間(VRChat)上で撮影した『つながり』を感じる写真を選定して応募してみることにしました。佳作を獲れれば嬉しいな……くらいの気持ちで。
……その結果、『佳作』と『Meta最優秀特別賞』に自分の写真が選ばれていました。
…………え!?『Meta最優秀特別賞』!?!?
『佳作』だけでも目標だったのでかなり嬉しいのですが、なんとさらに『Meta最優秀特別賞』を受賞してしまいました。Quest Proを貰えるヤバ〜〜い賞です。
さすがにひっくり返ってしまいました。
見間違いだよね???と思って数回結果発表ページを見直しましたが何度見てもそこに載っていたのは自分の名前と写真でした。怖い。
というわけでここではその『佳作』と『Meta最優秀特別賞』に選ばれた写真に込めた思い、みたいなものを語ろうと思います。
写真を見ただけでは伝わらない部分の補完としていただけたらと思います。
ではまず佳作のほうから。
▼『Start Line』(佳作受賞)
まずこの写真の状況ですが、私立VRC学園というVRChat上に存在する学園型コミュニティの卒業式で最後に撮った寄せ書き+集合写真となっています。
よって、実はVR写真大賞を意識して撮った写真ではありません。
この学園型コミュニティですが、2週間を在学期間として、短期集中型で毎日同じ人達とバーチャル上に存在する学園で生活することで親睦を深めていくことになります。
(VRChatは仕組み上最初に友人を作ってコミュニティを構築したりやりたいことに挑戦するハードルが少し高めなので、それを補助する目的でこの学園型コミュニティは存在しています)
私の所属していたクラスはとても仲が良く、2週間と短い期間ではありますが、卒業する頃にはかなり強い絆が生まれていました。
この写真では
・強い『繋がり』ができたことが黒板にみんなで書いた寄せ書きで明示されている(「みんな大好き」や「絶対に集まるぞ!」など)
・その仲間たちが集合していること
・このメンバーとの出会いが、VRChat人生を変えるほどの良いインパクトを生み出してくれた
以上の点からこの写真をチョイスするに至りました。
ちなみにタイトルの『Start Line』というタイトルは、*Lunaさんという方のスタートラインというVOCALOID曲が元ネタだったりします。クラスメイトが卒業記念動画を作成した時に、この曲を使用していて強く印象に残っていたのです。
何が印象に残ったかと言うと、卒業が『ゴール』じゃなくて『スタート』だってのを歌った曲なところなんですよね。
最初の歌詞が『あるき出そう ここから』なんですよ。めちゃくちゃ良くないですか?
終わらないんですよ。始まりなんですよ。学園は終わるけどこれからいろんな可能性を試していけるし、仲間との繋がりは学園外で続いていく。この学園を卒業し、メタバースの広い海へと旅立っていく自分たちにぴったりな曲だったんです。
そういう意味で、これは『始まりの写真』だ!という意図を込めてこのタイトルを採用しました。
(▲めっちゃいい曲だから聴いてくれるとうれしい!!!!!)
次にMeta最優秀特別賞の写真です。
▼『今年もおつかれ!』(Meta最優秀特別賞受賞)
これは2022年の年末に開催した私が主催した学園の元クラスメイトとの忘年会の時の写真ですね。
なのでこれも、VR写真大賞を意識して撮った写真ではありません。
(写真大賞用にLightroomを使用して軽くレタッチやトリミングはしていますが……)
先程の『Start Line』からの続きを意識してこの写真を選定しています。
学園が終わってしばらく経ったけど、”ちゃんとつながってるよ”的メッセージですね。
なお、この写真は正直、技術的には何も凝ったところがありません。
私は時間をかけていろんな構図や被写界深度や焦点距離を試して、その上でレタッチも色んな形で試行錯誤して納得行くまで突き詰めた一枚の”作品”的写真を撮ることも結構多いのですが、この写真に関しては、リアルで言えば『仲いいメンツと飲み会なう〜!』ってスマホで撮って、そのままSNSに投稿する……そのくらいの感覚で撮った写真なのです。
だから、正直『アート作品』としては価値がないかもなぁと思ったりなどしてます。
ぶっちゃけアーティスティックな写真で言えば自分の中だとこういう風味のほうが好きですしね。
#VirtualPhotography #VRChat#HijikiVPhoto pic.twitter.com/HMSIrdkl3l
— 鈴木ひじき (@knsk_seaweed) 2022年9月1日
でもこの”雑に撮った飲み会写真”の価値は芸術性ではないところにあると思うんですよね。
このVR写真大賞のテーマは「つながり」、VR写真大賞の役割は「VR文化を一般に発信すること」なわけなんですが、
そういう意味では『仲のいい仲間と』『VR空間上で』『楽しく宴会をしている』最中に撮った、バーチャルだけどリアリティが、ライブ感がある写真という部分に価値があるんじゃないかなと思ったわけです。空間はバーチャル、絆はリアリティ的な。
一般の人に『バーチャル空間、楽しそうじゃん!』って思わせることができる力がある……(かも)みたいな。
投稿写真に技術的にこの写真よりも圧倒的に優れた写真が多い中で、これがMeta最優秀特別賞に選ばれた時に、私は『なんでこれが?もっと素敵で激ウマな写真たくさんあるよ』と一瞬思ってしまったわけなんですが、こう考えると納得が行ってきます。
飾ってない、作ってない、自然にVR世界の魅力を切り取った写真だからこそ、この賞に選ばれたのかも――と思いました。Metaはメタバースの魅力を広めてくれそうな1枚を選びそうですし。
そういった意味で言えば、メタバース空間上でできた最高の仲間と最高の時間を過ごしている一瞬を切り取ったこの1枚で受賞できたのは何よりも嬉しいです。
おわりに
『VR写真大賞2023』、想定外の良い結果を残すことができて非常に驚きましたが、自身の写真と深く向き合ってみる良いきっかけになりましたし、他人の素晴らしい写真たちを観てたくさんの刺激を得ることもできました。こういった大きいバーチャル写真向けのフォトコンがあるとバーチャルフォトグラフィーに挑戦するモチベーションにもなりますし、色々な人にメタバースやバーチャルフォトの魅力を知ってもらえる機会にもなると思いますので、ぜひ今後も開催してほしいです。次回もチャレンジしたいところ!!
最後まで読んでいただきありがとうございました!